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PASMOを拾った話

18:30、駅の改札。

 

お盆が終わり、久々の出勤にくたびれ、やっと帰れる、という

重々しい足取りとは対照的に俊敏な動きをする改札の扉をくぐる数多の会社員。

 

私は改札をくぐる会社員達が乗ってきた電車に乗るため、

改札に向かった。

 

ふと、改札をくぐる人々の中に、何かが落ちるのが見えた。

PASMOだ。

 

落ちて5秒くらいか、2mくらい先にあったPASMOを人ごみを上手く避け、

拾い、落としたであろう人に渡すべくパッと振り向いた。

 

…人が多すぎて誰が落としたか分からない。

東京の帰宅ラッシュの駅の改札出口をご存知の人は、

状況を想像するのが容易だろう。マジで人が多すぎて分からない。

 

落ちたのを視認して5秒、拾うのに2秒、振り向いて落としたであろう

人を探すのに2秒。

9秒前のぼんやりとした視界の記憶を頼りに、何十人の背中から一人の男性にかけより、「PASMO落としませんでした?」と声をかけた。

 

男性はすぐに、PASMOを入れていたであろうスマホの革のケースを開いた。

男性は「あっ」と声を出した。ちょうどカード入れになっている部分にカードが無かった。

 

「落としました、すみません、ありがとうございます」

 

男性に礼を言われ、私は「よかったです」と一礼して再度改札に向った。

一発で見つけられたのは本当に運が良かった。

 

ただのちょっとした美談(自分で言うのも厚かましいが)だけど、

なぜかずっとこの出来事が頭から離れなかった。

 

なんとかいうか、世の中ってタイミングが大きな要素を占めていることも

多いんじゃないかなって思ったから、かもしれない。

 

今、色々しなくちゃいけないことを抱えている私の立場も相まって

今回のようなことが起きたからかもしれない。

 

実は、今日は退社する前に余力があったので

明日の会議のために資料見直しを行っていた。普段はあまりしない。

 

もし、あの時定時に帰る選択をしていたら?

あの男性が落としたPASMOは拾われなかったかもしれない。

拾われても落し物センターには届かず、盗られてしまったかもしれない。

 

あの時、あの場所に自分が居合わせてたまたま落ちるPASMO

視界に入ったおかげで、あの男性はPASMOを失くしたショックを

味わわずに済んだ。

 

誤解しないで欲しいのが、私に感謝しろ、と恩着せがましい事を

言っているのではない。

タイミングってほんとに重要だなってことを言いたい。

 

よく有名人やスポーツ選手がインタビューで「私は運が良かった」と

言う人が多いが、あながち間違いじゃないと思った。

しかるべき時、しかるべきタイミングに恵まれたおかげで

成功したからそう言っている人も少なくないのではないか。

 

もちろん、その背景には少なからず本人なりの努力があると思う。

やっていきましょう。

 

PS

この半年で今回の一件も含め、4回PASMOを拾っている。

普通こんなに拾うか…?

(いずれもちゃんと拾って、追いかけて、渡せている。)

 

オシャレで持ちやすくて落としにくい定期入れって

意外とニーズがあってビジネスチャンスなのかもしれない。